おっさん革命

犬のこと中心のブログ

犬と海

まだ犬を飼って間もない頃、どうしても連れて行きたい場所があった。

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潮の匂い、寄せては返す波、永遠と続く砂浜。
どんな反応をするのだろう?想像しながら、期待に胸を膨らませていた。

7月某日、気温は高めだが朝から曇り空。
これなら砂浜も安心して歩ける。犬を連れて海へ行くには最高の天候だ。

海に行くか!

そう何度も話しかけてみるが、犬はこちらを見ながら首を傾げるばかり。

そして、いつもドッグランへ行く時と大して変わらない装備のまま、海へと向かう。

犬はドッグランへ行くつもりなのだろう、車の中ではいつもの様に大はしゃぎだ。
たまに開いている窓から顔を出して、生意気にも風を感じている。
サングラスでもあれば似合いそうだ。

10分も車を走らせると、車内は潮の香りで満たされ、眼下には広大な海と砂浜の景色が広がる。

駐車場を見つけて、車を停車。
後部座席の犬を見ると、いつもと違うことを察知したのか、その表情から警戒心を覗かせている。

どんな反応をするのか?色々と想像しただけで、笑みが溢れてしまう。

後部座席のドアを開け、リードを装着する。

いざ砂浜へ!

「どうだ?これが海だ。」

犬は、初めてくる場所にまだ警戒しているようだ。
やや低い姿勢で匂いを確かめながら、ゆっくりと進む。
いつもとは違う種類の匂いが多いのだろう、あらゆる場所で長い時間をかけて匂いを確かめる。

そしてある場所で引っかかった。
まだ波打ち際まで50m以上あるその場所から、動かなくなった。
ひたすら匂いを嗅ぐ。色んな角度から地面ギリギリまで鼻を近づけ匂いを嗅ぎ続ける。
リードを引いてみるが、前足にグッと力を込めて拒否。
もうちょっとだけ……そういっているかのように、必死に匂いを嗅ぐ。

「もういいだろう?」

強めにリードを引いたその時……

バタンっ、ゴロゴロゴロ〜〜、グリグリ、ゴロゴロ〜。
砂浜の上で全身を地面に擦り付けはじめた。
その表情は、完全に悦に入っている。

止められない……。

しばらくローリングを続けた後、満足したのか、こちらを見て "もういいよ" と合図してくるが……

まだ波打ち際まで50mの地点で、全身砂だらけだ。
海に連れて来る時点で、汚れることは覚悟していたが、この段階でこんなに汚れるとは。

まぁいい、どっちにしろ汚れる。早いか遅いかだけの問題だ。

その後も、あっちこっちの匂いを確かめながら、ゆっくりと波打ち際まで進んでいく。

そして、ようやく波がとどく場所まで到着。

一番楽しみにしていたのは、波への反応。怖がるのか?はしゃぐのか?f:id:kmsif:20210709205421j:plain

ザバァ〜!

犬の足元に波が寄せてくる。そして引いていく。

が、無反応。

何度も波のが足の間接あたりまでとどくが、やはり無反応。
たまにブルブルするだけで、波への反応は皆無だ。

もう少し海側に近づいて歩いてみる。
今度は、腹くらいまでの波が来るが、少し邪魔くさそうにするだけ。

そんなはずはない。
動画で見た犬達は、お祭りのようにはしゃいでいた。波打ち際で飛び跳ねたり、波に向かって吠えたり、とにかく大きなリアクションをしていた。

まだ我が家の犬は、砂浜の何もないところで、ゴロゴロしただけ。
そんなことは、家の庭でもする。

本気を出してくれ!
そんな思いで、波打ち際をず〜〜っと歩いて行くが犬の反応は変わらない。
ただただ私が濡れるだけの散歩。

それでも、駐車してある車が見えなくなるまで歩き続けたが、

「戻ろうか……」

もはやこれ以上歩く理由がない。

今度は、波打ち際から離れた場所を通りながら、車へと引き返す。
お前の飼い主は、もうこれ以上濡れたくないのだ。

魚の匂いでもするのだろうか、また匂いを確かめながら、ゆっくりと戻る。

そしてお気に入りの場所まで戻ってくると、またゴロゴロを始めた。
全身に衣を纏わせた状態で、満足そうにこちらを見ている。

「……カラッと揚がりそうだな。」

海での楽しみ方は人それぞれ。
こいつはこいつなりに海を楽しんだのだろう。

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