ルンバが犬のウ○コを吸った日
犬の話を書くブログだが今日の主役はこいつだろう。
まだ我が家の犬が生後4ヶ月くらいの時、事件は起きた。
トイレもほぼペットシーツの上でするようになっていたが、まだまだ安定しないので保険で2箇所にペットシーツを敷いていた。
今思えば、何故あんな場所に敷いたのか…
そこはルンバから数センチの場所。
ガソリンの近くに火器を置くようなものである。
私がコーヒーを飲みながら本を読んでいると、なにやら犬がゴソゴソはじめた。トイレか、と思い様子を見ているが今回は何故かしっくりこないらしい。
入念に臭いを嗅ぎ、場所を定めてモーションに入るが直ぐにキャンセルし、また臭いを確かめる。これを何度も繰り返し結局何もせず不満げな顔でトイレを後にする。
何か言いたいことでもあるのか、こちらの顔を然りに伺いながら別のトイレへと移動。
そう、我が家のお掃除当番が鎮座する場所から目と鼻の先に置かれたトイレへ。
今度は迷うことなく直ぐに排泄を始めた。大きい方だ。
排泄の後は、おやつと賞賛が待っていることを犬は知っているので、やたらとご機嫌になる。
その時、はしゃぐ犬の足が何かに当たり聞き覚えのある音がしてきた。
ペペェペペェ〜、ピーッピーッピーッ!
ルンバが起動した。
目の前にある物を吸引すること、それが彼の使命だ。
一瞬だった…。
彼は完璧に仕事をこなしたのだ。
部屋中に飛散した何か。
茶色く変色した絨毯。
随分と様変わりしたルンバ。
そして、動き出したルンバにじゃれつく犬。
阿鼻叫喚
そうかこういう時に使う言葉かと納得させられる有様。
目の前の光景に思考が停止する。しばらく、そこに佇んでしまった。
何からするべきか?何をどうしたらいいか?とりあえず飛散したもの達を始末し、あっちこっちを入念に拭く。見落としがないかチェック。周りはだいたい片付いたか…と視線の先には無惨な姿のルンバが。
ここからが本番だ。恐らくたっぷり吸い込んでいるだろう。彼はなにも悪くない。目の前の佇まいからは、威厳すら感じる。何かをやり切った男の顔だ。
…が臭い!
とにかく臭い!
360度グルっと見回してみる。今度はもう少し低い位置からグルっと見回してみる。見れば見るほど絶望的な気持ちになる。
"捨ててしまおうか"
そんな言葉が頭をよぎる。
きっと楽にしてあげた方がこいつも幸せなのかもしれない…既に心が折れてしまった私は、無意識に逃げる選択をしていたのかもしれない。
"今までありがとう"そう呟きながらルンバの両脇に手をかけた瞬間、彼との思い出が走馬灯のように頭の中を駆け巡った。
彼がはじめて家に来た時、嫁は掃除する彼に大喜びで"おりこうさん!"を連呼していた。嫁にとってクルクル動き回る姿は動物そのもの。掃除という面倒な作業を引き受けるだけでなく、動物を飼うことができず寂しい思いをしていた嫁を日々癒やし続けてくれた。
そうだ嫁のためにも、彼を救ってやろう!折れてしまった心に小さな火が灯った🔥
決意表明、嫁に状況をLINEで説明し
"でも大切にしてたし、なんとなするよ"と。
返信は直ぐだった。
"捨てちゃえば"
…心に火が灯った。さっきとは比較ならないくらい大きく力強い火が🔥
こいつには私しかいない!私がなんとかしてやらなければ!
まずは表面の汚れから拭き取り、今度は全て分解し内部も清掃。普段は使わない説明書取り出し、出来る限り細かく分解。洗浄出来る箇所は全て洗浄する。洗っては拭き、拭いては洗う。
格闘すること4時間、完全に拭き取った!
ホームポジションに戻し、再び命の火を灯す❤️🔥スイッチON!
ペペェペペェ〜、ピーッピーッピーッ!
ブォォオォォ〜〜
"ありがとう、僕まだやれるよ"
私にはそう聞こえた。いつもより力強く、逞しい音を立てながら仕事に向かう姿に目頭が熱くなる。そして彼を救うことで自身も少し成長できた気がする。
が、やっぱり臭せ〜
ウ○コを吸い込んだ掃除機だ。どんなに頑張っても完全には無理。臭いもんは臭い!
それでも臭いはかなり緩和されている。ファンから吐き出される温風からフワッと臭いが漂う程度。
汚れは完全に拭き取っているはず。きっと原因はこびりついた臭いだけ。これくらいならきっと時間が解決してくれる。
そう信じて、今日も出掛ける前にルンバを稼働させる。
あれから2年、あの時より大きくなった犬にじゃれつかれながら仕事をこなすルンバ。我が家には相変わらずの光景がある。
今日もルンバはファンからホコリの臭いを漂わせながら走り続けている。