そこは絶対に曲がらない犬
我が家の犬は散歩が大好きである。
よくも毎日飽きないものだと思うくらい、散歩に行く気配を察しただけで大興奮する。
私が散歩の準備を始めると、玄関の前でグルグル回り、クンクンいいながら急かしてくる。
そして首輪を手にすると、自分から入ろうとし、ひたすら私の前でジャンプし続ける。
協力しようとして、物事を悪化させる一番良くないパターンだ。
靴をグチャグチャにしながら飛び跳ねる犬に必死に首輪をしようとするが、中々うまくいかない。
この段階で既に結構な体力を消耗し、時間を消費してしまう。
そして玄関の扉を開けると必ず"ワンっ！"と一発雄叫びを上げ、近所の方々を驚かせる。
"行ってきますっ！"とでも言ってるのだろうか。
びっくりしたご近所さんに謝罪するのも、もはや日課となった。
出発して直ぐは、とにかく引っ張りまくり、何度注意しても体は前傾姿勢。
引っ張った瞬間に止まり、自分の横に呼び戻し、アイコンタクトしてから進む。
これを繰り返すが、アイコンタクトが終わるとまた同じことを繰り返す。
引っ張る→戻る→アイコンタクト→引っ張る→戻る→アイコンタクト…
音楽でもつけたらダンスの様だ。
このように散歩の序盤は興奮しっぱなし！全く言うことを聞かないが、それでも5分も歩くとやっと落ち着いてくる。
その後は大人しいもので、これといった主張もなく、淡々とゴールに向かう。
余程気になることでもない限り、人や他の犬とすれ違ったりしても、引っ張ったり興奮することもない。
散歩のルートに関しても飼い主に委ねられており、こちらが進む方へとすんなり移動してくれる。
序盤の大興奮さえなければ、模範の様な散歩をしてくれていたが…
ある時突然、反旗を翻した。
今までルートに関して一度も文句を言ったことがなかったのに、ある曲がり角だけ絶対に曲がらなくなったのだ。
まずその曲がり角に近づくと、こちらの顔をチラチラ見始める。
さらに近づくと、明らかにその曲がり角から離れようとする感じで引っ張る。
なんとか目的の方向へ誘導しようとしても断固拒否！物凄く不機嫌な顔で私を見上げてくる
そっちには、行きたくない！
今までそんなことなかったのに何故だ？
何か怖がっているのか？
しかし、逆側からその道を歩いて来る時は、何かに怯えることもなくすんなり進んでくれる。
特にその道に怖いものがある訳ではないらしい。
1箇所くらいそういう場所があってもいいかとも思ったが…やはり気になる。
なぜそこだけ曲がらない？
怖がるものも特に無いのになぜ？
こっち何がある？
こっちにあるもの…家？
家！我が家！
長々と書いてきたが、単なる遠回り！
その曲がり角は、散歩ルート的にショートカットに使うことが多く、少し早めに戻りたい時によく利用していた。
恐らく、何度も散歩しているうちにルートを覚えたのだろう。
ここを曲がったら散歩が終わる！
まだ物足りないぞっ！
そんな思いで飼い主を誘導していたのだ。
飼い主の手抜きは許されないらしい…。
なるほど、また散歩の時間が長くなりそうだ。
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